【第1・2章】WILLER EXPRESSの雪山研修特集!チェーン装着訓練の様子をレポート

こんにちは。ウィラコレ久しぶりの登場、S先生です。

今回は「雪山研修」についての記事です。

雪山研修はその名の通り、雪山にバスを持っていき、そこでチェーンの脱着やバスの運転操作について学ぶ研修です。

WILLER EXPRESSは北陸や東北など雪の多いエリアにも路線がありますし、当然東京や大阪でも雪が降ることはありますので、雪への備えは欠かせません。その備えの一環としてWILLER EXPRESSでは毎年雪山研修を実施しています。

今年の雪山研修には私も同伴し、取材することが出来ました。普段お客様の目には入ることはない裏側で、WILLER EXPRESSがどのような取り組みをしているか知っていただけると幸いです。

今回の記事は3章構成です。まず1章(本文)では、そもそも雪山研修とはどんなものかについて解説します。その上で2章ではチェーン脱着訓練、3章では走行訓練について詳しく紹介します。

第1章 雪山研修をやる意味

雪山研修の目的は、雪道を走行する場合に

①車両がどのように挙動するか

②その挙動がどのような危険をもたらすか

③その危険はどのようにすれば未然に防げるのか

を、”身を以て知る”ことです。

「雪道での運転は通常の路面よりも危険」というのは、車を運転される皆さんであれば教習所で教わるでしょう。そして、スリップしたときの対処法などについても座学で教わっているはずです。当然、WILLER EXPRESSの乗務員も、乗務員になるときに受ける研修で学びます。

しかし、その危険性や対処法を頭だけで理解しているのと、生身で経験しているのとでは、いざ雪が降ったときの対処に大きな差をもたらします。後者がより冷静に、的確に対処できるというのは言うまでもありません。

この、”生身の経験”を積むことが雪山研修の大きな目的の一つです。知識と経験の両方を培うことで初めて、雪道等の悪条件下でも全長12メートルもある大型車両を制御することが可能になるのです。

ただ雪道を走るだけではない

具体的に雪山研修ではどのような訓練を行うのでしょうか。今回の研修では4種類の訓練を行いました。

①タイヤチェーンの装着訓練
②安全装置をOFFにした状態での急ハンドル・急ブレーキ
③安全装置をONにした状態での急ハンドル・急ブレーキ
④サイドブレーキのみでの停止

②〜④は大変危険な運転動作であり、当然のことながらWILLER EXPRESSは公道上やお客様をお乗せした状態で安全装置を止めたり、走行中に故意にサイドブレーキを引いたりすることは絶対にありません。(今回の研修も私有地内で周囲に人がいないことを確認した上で、十分に安全に配慮しながら実施しています。)

なぜこのような危険な運転をわざと行うのでしょうか?

例えば、「何km/hぐらいで、どれくらいハンドル操作をしたらスリップするのか」というのは、実際にスリップさせてみないと分かりません。そして、スリップさせないとその時車両がどういった動きをするのか、どうすれば車両を制御を回復できるかを知ることはできません。また、安全装置を敢えてOFFにした後にONの状態での運転を経験することで、安全装置の効果やその限界を体感することができます。

このように、敢えて危険な状況を作り出すことで得られる学びが多くあります。淡々と雪道を運転するだけでは「生身の経験を積む」という研修の目的を達成できないのです。

危険な状況を意図的に作り出すだけあって、研修は非常にハードなものとなりました。WILLER EXPRESSの乗務員研修の中でも最も厳しい部類に入る雪山研修が、実際どのように進んだか、また訓練を通じてどのようなことが分かったかについて、次章以降で見ていきます。

 

第2章 チェーン装着訓練

ここまでは雪山研修の概要やその目的についてご説明しました。これからは「チェーン装着訓練編」と題し、タイヤチェーン(以下、チェーン)の装着訓練について解説します。

チェーンは、積雪路・凍結路を走行するうえでは必携の装備です。スタッドレスタイヤでもある程度の雪道は充分に走行できますが、チェーンを装着したタイヤはスタッドレスタイヤ以上の滑り止め効果が期待できます。

しかし(経験のある方なら分かると思いますが)、チェーンの装着は慣れていないと難しい作業です。また、正しい方法で装着しなければ、チェーンが走行中に外れたり、タイヤや車体を傷つけたり、果ては事故を招く恐れもあります。

また、2018年12月の法改正により「チェーン規制」が導入され、大雪特別警報や「大雪に対する緊急発表」が出されるような異例の大雪の際には、特定の道路区間においてチェーンを装着することが義務となりました。そのなかには上信越道などのWILLER EXPRESSが走行する区間も含まれます。つまり、チェーン規制が発令された場合にチェーンが装着できないとなると、我々は運行を継続することが出来なくなります。したがって全ての乗務員がチェーンの装着方法を心得ている必要がありますし、なおかつ実際の現場では安全にかつ速やかに作業を行わなくてはなりません。

このように安全運行を継続するためには、正しく、手早くチェーンの装着を行う必要があり、そのうえで事前の訓練は欠かせません。

以上がチェーン装着訓練を行う理由です。ではさっそく、チェーンをどのようにして付けるのか、そしてどのような点に注意してチェーンをつけなければいけないのか、実際の研修の様子を交えながら見ていきましょう。

STEP1:チェーンの状態を確認する

チェーンをタイヤに装着する前に、まずチェーンそのものが使用可能な状況かどうかの確認から始めます。WILLER EXPRESSでは、一部を除いて写真のような金属製のはしご型チェーンを使用しています。チェーンを広げて、ねじれやたわみ、深刻な損傷がないか確かめます。

「このチェーンに異常はないか?」

研修を指揮する運輸本部長が乗務員に問いかけます。

 

写真に示した2つのチェーン、一見なんの問題もなさそうに見えますが…

まず手前のチェーン、2本だけ色が違うのがわかるでしょうか。

実はこれ、交換されたチェーンなのですが、よくよく見ると1本はチェーンの繋ぎ方が誤っています(ほかのチェーンと繋ぎ方が違うのが分かるでしょうか)。

このまま装着した場合、タイヤを傷つけたり、最悪は走行中にチェーンが破断する恐れもあります。

さて、もう一方のチェーンはどうでしょうか。こちらも問題なさそうに見えますが、実は端のチェーンに深いキズがあり、破断する恐れがありました。

安全装備は適切な状態にないとむしろ危険を招きうるので、その状態の確認は安全を守るための基本行為です。参加者一同、日々の基本動作の重要性を再認識しました。

STEP2:チェーンをタイヤにかぶせる

チェーンに問題がないことを確認して、ようやくタイヤに巻く作業に入ります。

はしご型チェーンをつける方法は何種類かありますが、今回は駆動輪(エンジンの力を直接受けて回転する車輪。バスの場合は後輪。)をチェーンで包んで仮留めしてからタイヤを回転させ、チェーンを一周させる方法を採用しました。

まず、チェーンをタイヤの上にかぶせます。当然チェーンの表裏には注意します。またこの時、タイヤの中心を通る鉛直線に対してチェーンが左右対称になるように被せる必要があります。タイヤを時計に例えると、12時の位置にチェーンの中央が来るようにします(理由は後述します)。

▲チェーンをタイヤにかぶせる

この時チェーンがねじれたりたわんだりしないよう、細心の注意を払う必要があります。チェーンはタイヤのサイズぴったりに作られているので、そもそもねじれやたわみがあると装着が出来ません。また、仮に装着できたとしても特定の場所に負荷がかかることになり、チェーン自体や車体・タイヤの損傷の原因になりかねません。

STEP3:タイヤ外側のフックを仮留めする

チェーンを巻きつけ終えたら、続いて外側チェーンの端と端をフックで仮留めします。先ほどチェーンの中央部を12時の位置に持ってきたのは、ここで仮留めを行うためです(その位置でないと仮留めが出来ない)。また、後の工程で作業がしやすいように内側のチェーンのフックも適切な位置に動かします。

しかし、この時点でたわみやねじれがあると仮留めですら上手くいきません。大型バスのタイヤは大きいですから、チェーンのたわみをなくすだけでも一苦労。しかも相手は簡単に伸縮するような素材ではなく硬い金属ですので、チェーンを引っ張ってたわみを直すのにも結構な力が要ります。

▲たわみを直す

 

▲外側のチェーンを仮留めした状態

STEP4:車両を動かし、チェーンをタイヤの接地面に通す

両後輪についてSTEP3までの作業が終わったら、車輛を前進させ、チェーンをタイヤの接地面に通します。タイヤ付近にいる乗務員とハンドルを握る乗務員が声を掛け合いながら慎重に車輛を動かします。

▲車両を動かす様子

STEP5:フックを本留めする

STEP4で無事チェーンがタイヤを一周したら、再びたわみやねじれがないようにチェーンを整えてフックを本留めします。上手くできればいいですが、「ここまで来たのにフックが留められない!」というケースも当然あります。そのときは横着せず、前の工程からやり直します。何度でも。

STEP6:チェーンバンドをかける

チェーンがきれいに巻けたら、最後にチェーンバンドをかけて仕上げです。ゴムバンドによってチェーンが走行中にたわまないようにします。12時⇒6時⇒8時⇒2時⇒4時⇒10時の順にバンドのフックを掛け、正六角形になるようにします。

▲チェーンを巻き終わった状態

チェーン装着訓練を通しての学び

ここまで一連のチェーン装着の流れをご覧いただきました。訓練に参加した乗務員は若手からベテランまで様々でしたが、当然若手の乗務員にとっては貴重な経験になった一方で、ベテランの乗務員にとっても「チェーンをどのように持てば巻きやすいか」「どのようにチェーンを収納すると、いざ巻くときにスムーズにできるか」などの学びがあったようです。

ちなみに今回の研修は複数の営業所合同で実施し、バス3台に分乗して行われました。私は2号車チームに同伴していたのですが、2号車チームは「ほかのチームより最も速く、最も正確にチェーンを巻こう」とこの日のためにチェーン装着の自主トレをしてきていました(結果、本番でもキレイに最速でチェーンを巻くことができました)。自主トレの時間も惜しまない姿には私も同じ会社の人間ながら頭が下がる思いがしましたし、何より複数の営業所合同で研修を行い、安全に対するそれぞれの向上心がぶつかり合うことで、日々の安全への意識もさらに高まるのだと感じました。

チェーン装着訓練編、いかがでしたでしょうか。

チェーンを付けるべき状況というのは非常にシビアな気象状況・路面状況と言えます。その分、実際の運行でチェーンをつけて走行する場面は多くありません。しかしだからこそ、こうした研修を通じて日頃から備えておく必要があると考えます。

さて、次章ではいよいよ凍結路面での走行訓練について解説します。WILLER EXPRESSの乗務員研修の中でも最もハードと言われる雪山研修、その本丸に迫ります。

【第3章】WILLER EXPRESSの雪山研修!雪山走行訓練の様子をレポート

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