【専門家に聞く!】長時間の高速バス乗車で感じる疲労感をストレッチで吹き飛ばそう!

長時間動かずに座りっぱなしのバス移動は疲れるもの。たいていの人は「仕方ない。これぐらいなら大丈夫」と、じっと我慢してしまいがち。しかし、その我慢が危険を呼ぶことも!
そこで、今回はスポーツトレーナーの坂詰真二先生に、長時間じっとしていることのリスクや、そのリスク回避のために車中や休憩時間にできる簡単ストレッチを教えてもらいました。

疲れの原因は「筋肉を動かさないこと」だった!

じっと座っているだけなのに、長時間の乗り物移動はだるさや疲労を感じます。でも、別に体に悪いことをしているわけじゃないし……特に害を及ぼすこともないのでは?と思ったら大間違いでした!

「血液は体内に酸素や栄養素を運び、代わりに不要な老廃物を運び出します。そして血流を促すポンプの役割をしているのが筋肉です。動いているときには筋肉が伸縮して血液の循環もしっかり行われますが、じっとしている状態では筋肉も動かないので血流が滞り、その結果、疲労物質が体内にたまってしまいます」

筋肉は体を動かすほか、血液をスムーズに循環させるためにも重要な役目を担っているのですね。「動かない⇒筋肉も動かない⇒血流が滞る⇒疲労物質がたまる」ことが、じっとしていても疲れる原因だったというわけです。
だから長時間デスクワークをしたときなども、動いていないのにどっと疲れを感じるんですね。

高速バス移動でも「エコノミークラス症候群」の危険が!?

さらに同じ姿勢を長時間取り続けることで、もっと危険なリスクもあると坂詰先生は警告します。

「長時間、座ったまま同じ姿勢でいると血流が停滞し、ふくらはぎなどの静脈の中で血の塊(血栓)ができやすくなります。この血栓が血液の流れで肺まで運ばれると、肺の血管を詰まらせてしまう「肺塞栓(はいそくせん)症」を引き起こすことがあります。
飛行機のエコノミークラスのシートなど、狭い空間で同じ姿勢を取り続けることで発症しやすいことから「エコノミークラス症候群」と呼ばれていますが、もちろん飛行機に限らず6時間程度の高速バスの乗車でも、発症する可能性は十分あります」

そういえば、元サッカー日本代表の高原直泰選手が、遠征の帰りの航空機内でエコノミークラス症候群になりましたね。「プロのスポーツ選手が?」と驚きましたが、普段から運動をしている、体力や筋力があるといったことは、エコノミークラス症候群の予防にはあまり関係がないそうです。
肺塞栓症を発症すると、突然息苦しくなったり、胸が痛んだりするほか、失神したり命にかかわるケースもあるといいますから、十分に気をつけましょう!

坂詰先生いわく、血流を停滞させないために重要なのが「水分補給」だといいます。どんなものをどれくらい飲めばいいのでしょうか?

「水分補給の目安としては、たとえば6時間の乗車であれば、500~600ミリリットル。ただし食事からも水分を補給していますので、乗車前にしっかり食事をした場合は少なめでもよいでしょう。
トイレが心配で水分を取るのを控える人も多いようですが、水分補給を怠ると血液が滞って血栓ができやすくなるので要注意です。意識してしっかり水分をとりましょう。
飲み物の種類については、利尿作用があるカフェインを含むお茶やコーヒーはおすすめできません。また、アルコールも利尿作用に加えて発汗作用があるため、水分補給には適しません。水やスポーツドリンクなどがよいでしょう」

【移動中に!】車内でできるストレッチ

水分補給のほかに、血行不良の予防に効果的なのが「ストレッチ」です。
夜行バスでは、乗車したら朝まで爆睡……という人もいるかもしれませんが、ぜひこまめなストレッチを心がけてみてください。
まず、移動中に座席で行える簡単ストレッチを2つご紹介します。

<車内ストレッチ1>

全身に血を送り出す心臓の高さまで脚を上げ、お尻と太ももの筋肉のストレッチをすることで、脚の血流を促します

1. リクライニングを起こして背もたれに寄りかかり、背もたれとおしり・頭に隙間ができないように座り、片方の脚を持ち上げ、両手でひざを抱えます。
このとき腕は伸ばし、脚には力を入れないようにして、抱えた脚の足首をひざの外側に乗せて脚を組みます。


2. 片方の手をすねにあて、両手で抱きかかえるようにして手前に引き寄せます。
両脚左右10秒ずつ、3セットくらいが理想です。

<車内ストレッチ2>

首・背中・腰回りといった身体の裏側の筋肉を伸ばすストレッチで、首・背中・腰の緊張を和らげます。

1. リクライニングを軽く倒した状態で座り、両手を頭の後ろで組み、足は少し前方に出します。


2. 脇をしめて、腕の重さを頭にかけながら、ゆっくりと背中を丸めていきます。
このとき腰骨が背もたれから離れないように注意。おへそを軸に、背中全体をできるだけ丸めます。
10秒、3セットを目安に行ってください。

【休憩時間に!】車外で行うストレッチ

高速バス・夜行バスでは1~2時間おきにサービスエリアに停車し、休憩時間を設けています。
ぜひ、外に出て新鮮な空気を吸いながら、軽いストレッチを行いましょう。

<車外ストレッチ1>

バスで長時間座っていると、つい前傾姿勢になり、体の前面(胸・お腹・首)の筋肉が縮んで首や腰に負担がかかります。
ストレッチで前面をしっかり伸ばしてあげましょう。

1. 足を肩幅に開き、つま先は少し外側に向けて直立します。両手は手のひらを上向きにして、お尻の後ろで組みます。


2. 組んだ手を少し後ろに引きながら胸を張り、できるだけ高く上を見上げます。このときお尻を少し前に出し、しっかりと上体全体を反らしてください。
楽に呼吸しながら、1回10秒、3セットを目安に行ってください。

<車外ストレッチ2>

上半身の前面を伸ばして、背すじが伸びた正しい姿勢をつくったら、次にふくらはぎの筋肉を伸ばして緊張を和らげ、下半身に滞った水分の循環を促します。

1. 足を大きく前後に開き、左右のつま先を正面にして立ちます。手は下ろして、上半身は垂直に保ちましょう。


2. 両手をももの上に置き、前に出した脚のひざを曲げながら前傾していきます。
体重は前脚にかけます。後ろ脚はひざを軽く曲げ、かかとが浮かないようにして、ふくらはぎをできるだけ伸ばします。
両脚左右10秒ずつ、3セットを目安に行ってください。


車内でも車外でも、少しの時間で簡単にできるストレッチで、しっかり予防・対策を行って、快適な旅を楽しみましょう!

お話を聞いたのは…
坂詰真二先生
スポーツトレーナー
「スポーツ&サイエンス」代表。NACA認定ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト。各種アスリートへの指導、スポーツ系専門学校講師を務めながら、雑誌『Tarzan』(マガジンハウス)など、様々なメディアで運動指導、監修を行う。『世界一すごいストレッチ』(日本文芸社)ほか、著書・監修本多数。

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※本記事は、2018年09月18日に公開しました。最新の情報と異なる場合があります。ご了承ください。


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